「兄ぃ、綺麗だったんすねぇ」
白髪が感心した声を上げ、
獣の頭を撫でた。
「なんでまた、男って選択肢を選んじゃったんすか、
 ずっと女でいりゃいいのに」
顔を上げると、シンと目が合った。
「狐みたいな強い神霊は、
 老若男女、全て自分で選んで、
 肉体を作れるんだけど、
 それより弱い存在は、
 物世界に現われるためには、
 こういう人形がいる」
解説を受けて、私を人形を見つめた。
「ヴァンパイアの人形は、
 入った魂に合わせて、見た目が変わるんだ、
 クイナと狐で、まったく違っただろ?
 例えば俺やゆうこが入ると、
 俺やゆうこの形になってくれる、
 狐のあの姿は、狐が女の時形作る姿だ、
 神霊が身体を作る時みたいに、
 一から選択できるわけじゃなくて、
 男か女か、子どもか大人かだけ、
 人形の設定に左右されてしまうのが、
 辛いところだね、
 ソフィスティケイテッドがスケベだったばっかりに、
 男タイプの人形を持ち合わせていなかったんだ」
「異議あり!!」
シンの説明に白髪が手を上げた。
「何勝手な解釈垂れ流してんの!
 男作るより女作るほうが大変なんですけど!
 女の人形持ってるほうがレベル高いんですけど!
 だから女ばっかり持ってるんですぅ、
 ボク一応高名なヴァンパイアなんでね!!」
「知ってるよ、冗談、
 冗談にそんなにムキになられても困るなぁ・・・」
「わーっ!むかつく!
 兄ぃ、こいつむかつきますぅ」
日本語で喚く白髪に、クイナは首を傾げている。
私はクスクスと笑い声を上げていた。
狐はふわふわの尻尾を揺すっている。