シンに傾きまくっている私の心に気づいたのか、
狐は白髪の腕を逃れ、私のもとに来た。
足に頭突きされ、動物らしい感情表現。
「ん?だっこ?」
狐を抱き上げると、狐はじっと私を見た。
頬を舐め、目を細めると眠りに入る。
「ちょ、寝ないで、
 これから私出掛ける用意・・・っ!」
「こっちは準備終わったよ」
さっきまで私と同じような地点に居たシンの用意が済んでいる。
え?どうやった?!
髪も顔の表情も、普段通り。
服も着替えていた。
「いつのまに・・・?!」
「俺用意早いんだ、寝ぼすけだから・・・」
「ホントに5分!」
白髪が時計を見て驚きの声。
私は白髪と、シンを交互に見てから、
白髪に狐をパスして部屋に戻った。