「どうしてダメなの?」
「・・・っ」
背中を摩られて、
もう舌が麻痺。
ダメ、の二文字さえ出せなくなってしまった。
・・・ふ、とシンの笑い声。優しい声。
「可愛いな、どうしてこんなに可愛いんだろう?
 過去、夫婦だったから?そういう縁なの?
 こんなつもりじゃなかったんだよ、ほんとだよ、
 君を連れて来たのは、仲間だと思ったから・・・」
「仲間?」
「うん」
「・・・仲間は・・・キスなんかしないよ?」
「じゃぁ、キスする関係は?」

「あの・・・」

白髪の声。
に今度は心臓が口から飛び出そうになった。
「俺も居るんで」
少し苛ついた、表情で白髪は私達の間、
仁王立ちしていた。
「ご、めん、・・・なさい」
耳まで熱された顔を見られたくなくて、
そっぽを向き謝る。
シンは無言で、じっと白髪を見ていた。
「これ」
白髪は部屋のキーを見せて来た。
「三部屋取ったから、好きな番号選んで、
 グレードは皆一緒、一番海がよく見えるのが301で、
 205と206からも見えるっちゃ見えるけど、
 ちょっと建物が邪魔って感じ、だって」
「・・・ふーん?ありがとう」
シンが返事をしてくれたのに安心し、
私は下を向いた。
顔の熱、
早く、
冷めろ。