俺の釣果はカサゴとソイ。
神山さんはヒトデ以降は地球ばかり(根掛かりを地球を釣ると揶揄したりする)。
ビギナーズラックってないのかな。せっかく来たのだし、楽しんで欲しいんだけど。


「ひぃやぁぁぁあ」
今日何度目かの悲鳴があがる。

「今度は何?」
神山さんが震えながら持つ竿の先を見ると…、
「……………何?」
茶褐色のしわしわのぶよぶよの変な形がぶら下がっていた。

「ごっゴミだよね?」
「いや…何だろ?」
有機っぽいが生き物だろうか?
死骸?臓物に見えなくもない。

「ゴミだよゴミ!
ゴミです!
ゴミだってば!
五十嵐やめてぇ!!」

何が怖いんだか。
神山さんにもやっぱり生物(の一部)に見えているんだろうか。
「ゴミでも外さなきゃどうしようもないだろ?」

神山さんは半ベソを通り越した顔で、竿を海に向けた。が、仕掛けはすでに俺が掴んでいる。
「ゴミを海に捨てちゃダメでしょうが」
「〜〜〜」
神山さん、言葉を発せてない。

手にとったしわぶよはややひんやりして大小3つ。
しわかと思ったものはヒダというか突起で、全体は意外と固く、細くなった所が一つの石に繋がっている。
コレは…根?海藻?
少なくとも臓物ではなさそうだ。