パックにオガクズと一緒に入っているが、このまま乾燥すると死ぬのでオガクズを取り除いて餌箱に移してやる。

「女の子だもんね。虫はだめかー」
コマセ撒く前に貰っておけば良かったな。

仕掛けも出来ていたので、そのまま4cmぐらいに切って釣り針につける。
「ひっ!ひっ!」
チョキチョキ切っていると神山さんの小さい悲鳴が聞こえる。
うん。まぁ残酷ではあるかな?
これから生きた魚を釣り上げて食べるわけで、それも残酷だと思うけど。
「よし。出来たよ」
二本分の準備をして神山さんに一方を渡す。


神山さんはアオイソメの付いた釣り針を、体から全開まで離して持った。
「………大丈夫?」
「…ムリ」
「そう。
じゃ。そのまま放して竿の向こうに行ったらリールにかけた指を離して」

神山さんは恨みのこもった目で睨んでくる。
正直めちゃくちゃ怖いですよ?

「海に入れば見えなくなるよ」
「うぅ。私もう魚食べれないかも」
「調理の時に内臓は取り出すよ」

ぶぅーん。

「神山さん駄目!
釣り針はカエシがあるから人に向けちゃ駄目だよ!」

神山さんが据わった目で釣り竿をこちらに向ける。
「五十嵐ってばたまに意地悪だよね!」
何が!?
むしろどっちが?!