「まったく、気付くの遅いですよ南斗(ミナト)さん!」 千陽はそう言うと俺のグラスを手に取り、入っていた酒を飲み干した。 しかもわざと俺が口付けた場所で。 …やっぱり今日のコイツは変だ。なんか企んでやがる。 「お父様はジョークですけど、南斗さんに息子さんはいますよ」 「え?」 「そんでもって俺にもいます」 「はあ!?」 ついに頭までおかしくなったか? 「バカだろ」と呟いて、俺は酒を注ぎまた口に運んだ。