「あ!今日って何月何日!?」


タルトを頬張りながら目を見開いて
真っ直ぐに僕を見る彼女



「今日?..えっと今日は
七月六日です」


タルトをゴクンと押し込んで
パッと明るくなる彼女


「そう!明日は七夕よ!!」


「七夕、ですか」


「覚えてなかったの?
玄関のとこに笹があったけど…」


そうして玄関を指差す


「ああ、そう言えばありましたね
でもアレは親父が飾ったんです」


「風流ね。私まだ短冊書いてないの」


「ぁー…僕もだ…
一緒に書きます?
それで、玄関の笹につけますか」


「やる!!」


と、勢いよく立ち上がり
彼女のゆるく巻いた髪がフワリと揺れる



僕は短冊用に紙を切って
ペンとソレを彼女に渡した


「なに書こっかな~…」


「そうだなー…僕は…
お客さんが、もっと来ますように
…………とか?」


「あはっ!それは頼んだほうが良いかも
私いつも来てるけど
お客さん居るとこ見たことない」


「見つかりにくいとこに
建ってますからね
隠れ家みたいに」


「私はその隠れ家を見つけた時
嬉しかったわよ」


「嘘だー…、」


「嘘じゃないわ!」


「泣きながら嬉しかった?」


…………数ヶ月前



彼女は泣きながら店に入ってきた


洒落たドレスをきて


カウンターの一番端に座った


僕は、その彼女を見たとき



`何かしてあげたい'と強く思った。



その気持ちが数ヶ月後には
今の状況に変わってる