ゆびきり

自分でも、滑稽だとわかっているのに、梨由は優しい言葉をかけてくれた。







「それだけ、相手を真剣に思える日和はすごいよ。純粋で、羨ましいくらい…」





梨由は口元は微笑んでいたが、目は悲しげに見えた。







「よし、書けた!」







梨由は封筒に『Dear日和−−−−−To梨由』と書いた。







それを両手で笑顔で渡してくれた。







「ありがとう」






私がその場で、あけようとすると、梨由の手がのびてきて、私の手を止めた。






「だーめ、家帰ってからみてね。これはお手紙なんだから」







「お手紙?」







「詩だけどさ、日和の心に届くように書いたわけよ。だから私は、自分の詩はお手紙って言うのよ」








私は、もう一度その封筒を見つめ、大切にバッグにしまった。








お手紙なんて、いつの頃のはなしだろう。








全く、疎遠になってしまう気持ちを伝える方法だ。