ゆびきり

そして、龍はゆっくりタバコに火をつけた。







「ガキ、詩に興味があるのか?」







龍の問いに詠士は戸惑った。







べつに、興味があるわけでもない。








ただ、龍の詩に興味が湧いただけだから。







「興味…はないよ。ただ、あんたが書いた詩、不思議で…」







再び、詠士は龍の詩を見つめた。







「へぇ、お前、いい瞳してる。自分で書いてみればいいじゃねえか」







龍は妖しげに笑みを浮かべていた。







詩を書く…







そんなこと考えてもみなかった。







「なぁ、お前名前は?」







「詠士…」






「詠士か、詩かいてやるよ」







そういって、黒い紙に白いペンで詩を書き始めた。








まるで、詠士と出逢うことを予知していたかのように、すらすらとペンをはしらせていく。