ゆびきり

なんだか、恥ずかしいな。






今更だけど、詠士は私をどう思う?






私を抱きたいって思ってくれるのかな…
ほかの遊びの女とは違うって、ことは、やっぱり手を出したりはしてこないか。







そんな、私の気持ちも知らずに、詠士はふと、MISAのCDを手に取った。







私は、とりあえず、お茶をテーブルに出し、詠士の隣へ歩み寄った。







「梨由とね、出逢ったとき、男にフラれてさ…初めて好きになったのに…」







三年も経っているのに、未だに昔の心の傷がうずく。







「ショック過ぎて、涙も出なかった…。

そんなとき、詠士が座っていた場所で、梨由が座っていて、詩を書いてくれた。

そしたら、素直に涙が溢れたの。梨由の詩が、私の心を動かしてくれた」







詠士は私の顔を見ることなく、CDをじっと見つめていた。







「あいつの詩が良いことくらい知ってるよ…悔しいけど…」







詠士は一枚のCDを手に持ったまま、ソファに座った。






私もその後を追うように、座った。