ゆびきり

水族館も閉館の時間。






帰りたくないからか、いつもは長く感じるはずの仕事が、今日はあっという間にに感じた。





重い足取りで家に帰ると、ドアを開けた時ポストの中に鍵が入っているのを確認する。






ああ、もう詠士の荷物も詠士もここには何もないんだ。





抜け殻のリビングに入っていくと、突然、電気がついた。






「えっ!?」





驚いて振り向くと、そこには






「おかえり、日和」






まだ、抜け殻じゃない。





会いたくないのに、会えてとても嬉しい詠士が笑顔でここに立っている。






「詠士、なんで…」






やっぱり、涙が勝手に流れてきてしまう。





こんな時に、わたしだって笑顔見せたいのに、涙流れてこないでよ。