そんな兄をみた光哉は、ずっと疑問におもっていたことを口にした。





「兄さんは、梨由のこと本当は好きなんじゃないの?だから、離婚できないんでしょ?」





光哉の言葉に皆注目する。
一番、信じられないといった顔をしているのは梨由だった。





でも、すぐに否定しない政康は、なにかと葛藤しているように、やるせない表情を浮かべていた。







「でもさ、愛されてないのに繋ぎ止めておくことが、幸せじゃないことは感じてるはずだよ。現に一緒に住むこともしない。梨由の旦那になっても、他の男の子供が可愛がれないあなたは、隣にいる資格はない」





光哉の厳しい言葉、梨由と一緒にいて詩織の面倒も一緒に観てきたからこそ言える言葉だった。





「お前はいつから、そんな偉そうな口を叩くようになったんだ?」






政康は光哉を鋭く睨んだ。
いつも、光哉をねじ伏せる方法だ。反論することを面倒に思う光哉は、平穏に進む道をいつも選んでいたから。