分かっていながら、政康の態度に憤りを隠し、冷静に梨由はきりだした。






「ねえ、もう社長になれるんだし、夫婦ごっこはもうよくない?離婚したいの」





誰も見たことがないほど、梨由も冷めきった声色で話す。





しかし、意外にも政康は反応を示した。






「離婚?今更することもないだろ。もともとあってないような夫婦だ」






「分かってる。だから、もう離婚したいのよ。父はあんたを気に入ってる。それでいいじゃない。私は自由になりたい」






梨由の言葉に、鋭い視線で梨由をみる政康の目に、梨由は恐怖を感じた。






それでも、怯んでいる場合ではない。





「なんだ?ほかの男のところにいきたいってことか?」





政康は梨由にゆっくり近く。






威圧でゆうことを聞かせる、ただの支配者だ。





「そうね、自由にちゃんと人を好きになりたい。だから、離婚してください」






梨由は、離婚届を政康に渡すと、そそくさとその場から立ち去っていった。