「はっきり、答えを出したら、俺は日和の側に居られなくなるかもしれない。日和が好きなら今はこのまま、曖昧でいたい」






詠士の真っ直ぐな瞳が私の瞳を射る。





狡い答え。


でも、それが詠士の偽りない素直な答えなんだ。






悩んでしっかり考えた答えが曖昧なら、仕方がないことなのかな。






「日和は、いいの?俺が今みたいに居なくなっても」






捨て猫みたいな、哀しそうな瞳で私をみてそんなこと言うのは、本当反則だ。





「詠士は狡いよ。そんなの、側に居てほしいにきまってるじゃん!」






やるせない。好きだから離れたくない。






曖昧が嫌なはずなのに、曖昧に繋がられる私たち。






「ごめんね、日和。今は、甘えて居たいんだ。一人でいたくない」






詠士は私の肩に頭をのせる。初めて間近に感じる詠士の顔に、緊張しながら、胸が切なくて締め付けられる。





そんな詠士を私は抱きしめた。





曖昧でも今はいいや、私が詠士を支えよう。






人の心は、大切であればあるほど、すぐに決断なんて出来ない。






一人で焦って、急かしたってすぐに変わらないよね。私たちの関係は今が一番いい関係なんだから。






求め合わずに、側にいるただそれだけで、満たされている。






フリを続ける。






都合のいい女でいいや。