ゆびきり

私の気持ちを察してくれたのか、倫子は優しい口調で過去を語ってくれた。







「私もね、どこかで悪役になってくれた友達に感謝をしていたのかもしれない。私は、こういう性格だから、自分の気持ちをはっきり言えなかった。」








悪役に感謝か…







本当に、倫子の友達の意図も解る気がする。








「友達は、好きな人に告白はしていないのよ。私からも、彼からも離れた。いつも三人で仲良かったのにね…だからかな、好き同士なのに、友達がいなくなったとたんに、どこか、穴が空いたみたいに、なんだかしっくりこなくなって…微妙な関係になって別れちゃったのよ」








倫子の口許は微笑んでいるのに、目は寂しそうだった。








倫子に心をひらけるのは、同じ経験をしているからかな。








いつも、心が広い倫子







辛いことを乗り越えたからこそ、心の器が大きくなることの意味を、理解できる気がする。