「霧子、あんまり深く考えるな。 思考は時として、本当に大事なものを見誤らせる。 まだ、卒業まで暫くあるんだし。 俺という人間をじっくり感じて貰えばいい」 眉間に皺寄せたわたしのおでこを、山之辺の親指が優しくなぞった。 その感触が、なんとも心地良い。 「正哉……」 わたしはその手にそっと自分の手を重ねた。 それはとても自然に感じられたのだけれど、わたしにしては大胆な行動だった。 そのまま引き寄せられて、わたしはすっぽりと山之辺の腕の中。