わたし達は二人、交わす言葉もないままに暫く抱き合っていた。 何故って…… 沈み行く夕日が、それはそれは美しかったから。 わたしは山之辺の胸に頭を寄せ、山之辺はわたしの頭に頬を寄せ。 二人重なるように抱き合って、夕日を眺めていた…… 東の空が真っ赤に燃えて、雲に薄紫の影を落とした。 陽が沈むに連れ、空の青は紫に染まっていく。 太陽がすっかり海の向こうに姿を消して、あたりが薄く暗くなった頃、わたしの頭上で山之辺の声が聞こえてきた。