朝が待てなくて


運転席に聞こえないように、祐二さんが話し始める。


「入試のときに樹は彼女に一目惚れしてさ、入学式の日いきなり告って速攻振られたんだぜ」


「えー、ホントに?」


「うんうん。まだよく知りもしないのにそーゆーこと言われるの不快です、とか言われて撃沈」


「美里は真面目な子だからね」


「へぇ、じゃあ何で…?」


「いきなり同じクラスになって、偶然樹の前の席が美里でさ、運命だ、とか言ってあいつ舞い上がってたからな。
結構しつこくアピッてたよ」


「ふうん…」




「二学期になってやっとOKもらって、あいつってばその日のうちに押し倒…」


ボコッ!


そこまで言って祐二さんは香美さんに後頭部を殴られていた。




「そんなことまで言わなくていいの!」