帰りの車は樹が運転することになっていて
祐二さんと香美さんが最後列に座った。
「お姉ちゃん、助手席ゲットだよ」
明穂が小声でささやいてくれたのに
あっ、と言う間にお父さんに取られた。
「ゲ」と明穂がわたしを見る。
ほろ酔い気分のお父さんは、当たり前みたいに助手席に乗り込んで、もう嬉しそうに樹に話しかけている。
いや、懐き過ぎだから。
仕方がないのでお母さんと明穂の並びに座ろうとしたら
「真琴ちゃん、こっちおいでよ」
と後ろから香美さんが誘ってくれた。
いいのかな…と思いながらも隣に乗り込むと、彼女はそっと耳打ちしてくれた。
「樹のこと何でも訊いていいよ」って。
優しい…!



