朝が待てなくて


と、社長さんがこっちを向いた。


トラックの間からのぞいているわたしを見て手招きをする。


「へ?」


名前こそ呼ばれたことがないけれど、たぶん樹の彼女として顔は知られているはず。


そうそう、キスしてるところ見られちゃったし。




社長さんの元へ小走りで行くと、並んで立たされている祐二さんのとなりを無言で指さされた。


えーっ、わたしも一緒に怒られるんだ!?




仕方なくわたしが列に加わるのを見計らって、社長さんは口を開いた。


「なんでそんなびしょ濡れになってんだ?」


「や、洗車してたらミスりました……」


訊かれた樹が苦しい言い訳をする。プ。




「こちらは栄運送の谷中専務だ」


社長さんはそんな言い訳はスルーして、隣にいるおじさんをわたしたちに紹介した。




「あ、事故の?」と祐二さん。


「その節はうちのドライバーがご迷惑をおかけしました」


実直そうなそのおじさんが深々と頭を下げる。