朝が待てなくて


「家の大きさで人を量るつもりはないけど、夏に海行くとき大淀んちへ車を借りに行っただろ? あいつのお母さん、少女みたいに幸せそうに笑っていて……。

大淀と一緒になったら、真琴はなんの苦労もなく年を重ねていけるんだろうなぁ、とか考えたよ。

なんたってこっちは失業中だからな」




ぽつりぽつりと樹が言葉をつないでいく。




「面接行っても振られてばっかで、借金だってまだまだ残っていて、毎日へとへとになって働いたって先なんか見えなくて……
ずっとずっと支えてくれたお前に、こんな俺がしてやれることがあるとしたら……




この手を離してやることだった」




樹がジッとわたしの目を見てそう言った。




「だけど頭でいくらそう考えたって、心の中は嫉妬でグチャグチャで、力ずくでもお前を自分のものにしたくて……。

そんな状態で連絡なんかできなかったんだ」




「ご……めんね、樹」


胸が熱くなって涙があふれてくる。