「だからショックだったよ」
と樹は言った。
「お前が大淀とホテルから出てくるのを見たとき……」
重ねた手がギュッとわたしの手を握る。
「胸が張り裂けそうだった」
樹……。
「悲しくて悔しくて腹が立って、でも……それが正解だと思う自分もいた」
「正解?」
「大淀はいい男だし、お前たちが制服姿で並んでたりすると、俺はどーしたってかなわないと思うから」
美男美女で長身の樹と美里さんが並ぶと、たちまち素敵な大人カップルになっちゃって、近づくことすらできなくなるのはこっちなんだけど……。
「大淀が真面目にお前のことを想ってんのは感じてたし、あいつ将来有望そうだしさ」
微かな苦笑が彼の口の端に滲む。



