朝が待てなくて


「11月だよ今。水のかけ合いなんて小学生でもやらないし」


11月の初旬――。


確かに今日はバカ陽気で汗ばむくらいにいいお天気だけど、夏じゃないもん。水かけられて気持ちいーなんてことにはならない。




「まったく祐二のやつ、つきあってやるの大変なんだからな」


なのに樹は他人事みたいに涼しい顔をして笑った。


「よく言うよ。メッチャ楽しそうじゃん」




今日はホントにいいお天気で、トラックのステップになっている鉄板の上に、こうして並んで座っていると、何だかのどかな気分になってくる。


「ここならホースも届かないだろーし、祐二もそのうち飽きてあきらめるさ」


そう言うと樹はコンテナの扉に背中をもたれかけた。


あぐらをかいた彼の作業ズボンのすそのほうが、水にぬれて色が変わっている。プフ。