朝が待てなくて


「何なの? いったい」


「バカだろ、祐二。水かけようとしてホース持って追っかけてくんだよ。ほら、手元で噴射したり止めたりできるやつ」


クスクスと、樹は自分で説明しながらウケている。




「ど、どーしてそーゆーことになってんの?」


「さっき洗車してたら祐二が急に飛び出してきて、もろに水ぶっかけちまってさ」


いたずらっ子みたいな顔して言う。




「あっ、それ、わざとでしょ!?」


わたしがそう指摘すると、樹はヒャッヒャと笑った。


「バレたか」って。




「そりゃ怒るよ、祐二さん」


「しつこいんだよ、あいつ。ムキになって仕返ししてくるから、返り討ちにしてやったし」


「えー、子どもじゃん」


「なぁ」


「いや、自分もだから」




遠くから祐二さんの叫ぶ声が聞こえてくる。


『おらぁ、樹―、どこ行ったぁ?』って。