翌朝早くにケータイが鳴った――。



「ん……」


ベッドの中で目をこする。


「……祐二さん?」


ケータイの画面には、登録したばっかの祐二さんの名前が表示されている。



ハッ……!


樹に何かあったのかと思い、ガバッと起き上がって電話に出ると、低い声がささやいた。



「……真琴か?」


「た、樹!?」


「うん」


「大丈夫なの?」


「おー。……起こしちゃったな」と笑う。



あんまり普通に何事もなかったように言うから、ホッとして泣きそうになる。


そう言えば昨日病室を出る前に、祐二さんは電源をオフにした自分のケータイを、樹が使えるようにと置いて帰った。


『起きたら香美の番号に電話しろ』と書かれたメモと一緒に、ベッドの脇の引き出しの上に。