それがあの日樹と美里さんが二人でコロンから出てきた理由――。
「それでもやっぱり抑えきれなくて……。
結局きっちり告ってきっちり振ってもらったんだけどね」
えへへ、、と美里さんは恥ずかしそうに笑った。
「だけど樹は『安心したよ』って言ったの」
「え?」
「元ダンナの件がトラウマになってるかと心配だったけど、そんなに積極的になれるなら安心だって」
美里さんは肩をすくめる。
「それから『大丈夫だよ』って」
「?」
「俺でも大丈夫だったんだから、お前は絶対に大丈夫だって」
そうして樹は自分の昔のことを美里さんに話したらしい。
信じていた先輩に裏切られて、美里さんにフラれた頃、自分はもう立ち直れないと思っていたって――。