「死ぬぞ、普通」
「う……ん」
「見ず知らずのやつを助けるために、こんな危険な真似、俺なら絶対にやらねーよ。つーか、足がすくんでできねーし……。
現に他のやつらだってこーして安全な場所で写メ撮るだけで、誰一人自分が助けようだなんて思っちゃいないんだからな」
「うん……」
手術室の前でさっき見た光景が目に浮かんだ。
その“見ず知らずのやつ”はあの人たちの大切な家族――。
「なのになんでこいつは何のためらいもなく、こーゆーことができるんだか……。本物のバカなんだよ、樹は」
祐二さん、怒ってる?
しばらくそのまま隣の椅子で黙りこくっていた祐二さんが、やっとまた口を開いた。
「俺はな、まこっちゃん」
重々しい口調。
「こんなことがなくても、まこっちゃんにはちゃんと謝るつもりでいたんだよ」
「へ?」
……何を?
急に話が見えなくなる。



