パイプ椅子をベッドに寄せて、シーツに投げ出された大きな手を持ち上げ、その下に自分の頭をもぐり込ませる。
布団に顔をうずめて樹に頭を撫でられているみたいにして……。
ホントは早く目を覚ましてほしい。
「真琴」って呼んでほしいよ。
こうやって髪を撫でてほしい。
ほっぺをギュッとつまんでほしい。
でも――
樹が死ななくてよかった。
樹が死ななくてよかった。
樹が死ななくてよかった。
ヒ……ック……。
大きな手から温かな彼の体温を感じて、それがホントに嬉しくて……恋しくて……
今頃になって涙がいっぱいあふれだす。
温かな手のひらと布団の間にうずもれながらわたしは
この手を失うことが
この世の中で一番怖いことなんだと知った。



