「おい樹、起きろ。まこっちゃんが来てんぞ」
検温を終えた看護師さんが部屋を出ていくと、祐二さんは樹を揺さぶって起こしだす。
「あ、いいよ! 起こさないであげて」
「いや、こいつマジで朝まで起きねーから」
「いいの、寝かせてあげたいの」
樹を揺する祐二さんの腕を引っぱって押さえた。
「そっかぁ? いい彼女を持って幸せだなぁ、お前」
眠ってる彼に向って祐二さんが笑う。
いい彼女なんかじゃ全然ない。
そのバチが樹に当たらなくて、本当によかった。
「じゃあ俺、会社に連絡入れてくるわ」
そう言うと祐二さんもどこかへ電話をしに出て行った。
樹と二人きりになった病室。
スースーと規則正しい寝息だけが聞こえる。
白い布団に包まれて静かに眠る樹は
……少し、痩せて見えた。



