「ダ、ダメだよ。お腹痛くなるから…!」
ちゃんと出来たやつを食べて欲しいもん。
取られまいとお皿を抱え込んでるのに、彼はヒョイっと器用に、出来そこないの唐揚げばっかさらっていく。
食べるの早っ…!
「火が通り過ぎるとパサつくから、こんな紙一重くらいが柔らかくて美味いんだよ」
なんて笑う。菌にやられても知らないよ?
玉子焼きは柔らか過ぎて、ふにゃふにゃと崩れながら重箱の隅にこんもりと盛られていた。
ほとんどスクランブルエッグ状態。
「甘っ」
「砂糖いっぱい入れた。醤油はちょこっと」
何となくそんな説明をすると、樹は「そっか」と笑って、それもいっぱい食べてくれた。
小さな子が初めて描いた絵を「上手だね~」と褒めそやされているみたいで、いたたまれない気持ちになる。



