ヒック、ヒックと私の泣き声だけが響く。
「惨めな部屋……なんかじゃないよ。朝起きて、夜帰ってきて、ここは樹が暮らしている部屋だもん。他のどんな場所より、わたし、ここが好きだよ。
お酒飲んでてもいいもん。嫉妬してくれるんなら、うれしい……よ。
だからお願い、今ここで……わたしを抱いて、樹」
グイグイと足を動かして、樹はしがみついたわたしを引き剥がそうとしてくる。
ズリズリと床を引きずられても、わたしは彼の足を離さない。
「欲しいの、樹が」
「え」
「身も心も……樹のすべてが欲しいよ」
しゃくり上げながら、わたしは言った。
「樹の全部を、わたしのものにしたいの」
「真琴……」
「美里さんにも誰にも……渡したくないよ。樹のすべてを、わたしだけのものにしたい……よ」



