テーブルの上の缶ビールを樹が無言で持ち上げた。
手渡されるかと思ったら、彼は自分の口にそれを運ぶ。
それから樹はテーブルに缶を戻して……
両手でわたしの頭をつかみ、唇を重ねた。
突然、口の中を満たしていく
冷たい液体と、苦い香り――。
ビックリして夢中でそれを飲みこもうとするけれど、1口飲めたくらいで、あとは口の端からこぼれてしまった。
冷たいビールはのどを通ると、カァッと熱くて……。
「……真琴」
目の前には茶色がかったきれいな瞳――。
「抱いていいか……?」
低い声がささやいた。
コク、と、うなずくのが精一杯――。
心臓の音が一気に跳ねあがる。



