ううん、樹が変わったんじゃなくて、樹の中にいるわたしが変わっちゃったんだ。
自分が守ってあげなくちゃって、ずっと大切に想ってきた女の子が、他の男の人と手をつないでラブホテルから出てきたんだもん。
胸元にキスマークをつけて……。
真面目な樹がどんなに傷ついたか、
優しい樹がどんなに悲しかったか……
なんて言いわけしても追いつかない。
「飲む」
どうやってわかってもらえばいいのか、
どうやったら樹の心に近づけるのか、
バカなわたしにはわからないけれど
だけど樹がとても好きだよ。
樹が飲めというのなら毒だって飲める。
「そ」
彼は小さく息をついた。
『飲めない』って言ったほうがよかった?
ゴメンね、樹。わかんないよ、わたし。



