「何も……考えたくないときに、ビールあおって寝る」
ぽつりと、彼は言った。
「今日も……?」
遠慮がちに訊いたら、樹はテーブルの上の缶に目をやった。
「そのつもりでシャワー浴びて1缶空けて、2缶目をプシュッとやったとこで、大淀が来た」
「そっか」
「つーか飲んでるし、何するかわかんねーぞ俺」
急にそんな言葉を投げ捨てた。
ドキッとするようなことを言う。
「い、いーよ、全然」
樹にだったら何をされてもいい。
ううん、何かされたらむしろうれしい。
それはずっと前からのわたしの願望なのに
樹にだからこそ、ずーっとブレずに感じている気持ちなのに
「案外、軽いのな」
と彼は言った。
無口で優しくない樹には慣れてない。
樹の心に近づけない。



