彼がベッドのへりに腰を下ろしたから、わたしもそれに並ぶように座る。


樹はもう『帰れ』とは言わなかった。




テーブルの上に戻されたお弁当。


「樹こそ食べなくちゃ」


もりもり食べてバリバリ働くのが、樹のモットーだよ?


いつもならあんなにおいしそうに食べるのに。




「いい」


と彼は首を横に振った。


「でも……」


「飲んでるし」


「それじゃ体に悪いよ。仕事して疲れてるんだから食べなきゃ」




「お前には関係ない」


う……。


バサッと切られた。




それでも会話を続けたくて、小さな声で言ってみる。


「ビールとか飲むんだね」


普段は運転があるから、樹はあんまり飲むイメージがない。


家で飲んでるなんて聞いたことがなかったし。