ドアを開けて姿を現した樹は、髪が濡れていて、どうやらシャワーを浴びていたらしい。
ひげも剃られて、さっきよりこざっぱりとしている。
Tシャツにスエット、首からタオルがぶら下がっていた。
「あのさ、迷惑なんだけど」
そんな樹を見あげて、大淀が真っ直ぐに言い放った。
「自分の女押しつけんなよ」
勝気な瞳が樹をギュッとにらみつける。
「大淀、てめーっ」
次の瞬間、樹の大きな手が大淀の襟首をつかみ、グイッとそのまま持ち上げるように自分の元へと引き寄せた。
「奪うんならちゃんと奪えっ」
怒鳴る樹に引っ張られ、大淀の足が宙に浮いちゃう感じになっている。
「ちょっ、やめてよ。暴力はイヤッ!」
思わず叫んで樹の腕を揺さぶった。
パッと、樹が突き放すように手を離して、大淀が地面に尻もちをつく。



