ホテルに誘ったこと、わたしは樹だけじゃなくて大淀にも最低なことをしたんだよね。
なのにいつも心配してくれてありがと。
大淀は優しいね。
樹は決して許してはくれないのに……。
樹は……。
抱えたひざに顔をうずめた。
何度もリプレイされる
冷たい瞳
冷たい声
振り払われた手――。
こんなの慣れてないもん。
悲しくってさびしくって、迷子になったみたいだよ。
温かい瞳
優しい声
ギュッと握ってくれる幸せの合図――。
それを失ったのは自分のせいだ……。
……ック、……ヒック。
冷ややかなその表情ではなくて、笑ってばっかの樹の顔を思い浮かべると、それだけで泣けて泣けてしょうがなかった。



