「あ、あの、終わりじゃないよね? 続き、また話し合えるよね?」
部屋に入ろうとする彼に追いすがるようにして訊いたけど、返事はない。
「また会えるよね? 連絡くれるよね、樹?」
「…………」
「ゴメンなさい。謝りに来たの。ね、ゴメンね樹。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ……」
「大淀にしとけ」
絞り出すような声がそう言った。
「やだよ、樹。何言ってるの?」
思わず彼の手をつかんだら、バッと振り払われた。
「疲れてるって言ってんだ」
「だって……」
このままじゃ終わっちゃう。
「樹は平気なの? もうわたしのこと嫌いなの?」
「帰れ……っ」
「無理だよ。……電車もうないもん」



