それは……。
「そこまでクリアしてんのなら、もうあいつでいいじゃん」
「あ、あのときは頭ん中がグシャグシャで……」
「てか、もういい?」
ブチッと、話を打ち切るように樹は言った。
「疲れてるんだ。早く寝たい」
「あっ、うん。ゴメン…なさい」
「工期が迫っていて昨日から一日中働きづめだった。睡眠つったらワゴン車の中で仮眠するぐらいで……。明日は朝からトラックの仕事が入ってるし」
「大変なんだね」
「ずーっと……このままかもな、俺の将来なんて」
そう言うと、樹はポケットから鍵を取り出してドアを開ける。



