「何やってんだ、こんな時間に」
さっきポカンと驚いていた樹の顔から、スッと表情が引いていくのがわかった。
「……会いたかったから」
やっとの思いでそう答える。
バーカ、とも、危ないだろ、とも言ってくれずに、樹は冷ややかな目でわたしを見つめた。
「悪い。疲れてるんだ」
「あ、うん。ゴメン……。あの、でも、少し話したい」
笑ってくれない樹の顔を見ているだけで、心が泣き出しそうだよ。
いつもどんだけ優しい目で見てくれていたのか、今更ながら思い知る。
「何?」
何って……。
「電話通じないし、メールも読んでくれてるのかわかんないし……だから直接謝りに来たの」
ペコンと頭を下げた。
「ごめんなさい、樹……!」



