朝が待てなくて


『うちに連れておいでよって言ったんだけど、わたし実家住まいだからさ、美里も気兼ねしてるんだよね。自分だけでも迷惑かけてるのにって』


すまなそうに香美さんは言った。




無事就職も決まり、働きだした美里さんは時間がとれなかったり、条件が合わなかったりで、なかなか部屋が決まらなかったみたい。


仕方がないので、お母さんと妹さんはずっとホテル住まいをしていたらしく


そんなんじゃお金がかかるだろうって、樹が鍵を渡して、自分の部屋を『好きに使えばいい』って言ったそうだ。




『美里、いろいろ続いてまいってたから、泣くほどうれしかったって言ってたよ』


家族水入らずがうれしいって、
樹の部屋すごく狭いらしいんだけど、お母さんと妹さんだけでなく、自分まで一緒に暮らしだしたらしい。




家族思いでがんばり屋で少し不器用な美里さん……。


応援したくなる樹の気持ちがわかるよ。