朝が待てなくて


「俺が悪いんだ?」


「そうだよ、樹のせいだよ」


「だから大淀とホテルへ行ったの?」


「そう……だよ」


「だけど何もしてないんだ?」


「うん」




「キスも?」




不意にその質問をぶち込まれた。




「してない」




自分でもビックリするぐらい冷静に答えていた。


表情ひとつ変えないで堂々とウソをつく。


そんなことが出来るんだ? わたし。


真実を話したからといって真実が伝わるとは限らない


そう言った大淀の言葉がせめてもの救いだった。





真っ直ぐに、樹の視線がわたしのブラウスの襟元にとまっている。


第1ボタンは元々はずしていて、第2ボタンはそう、わたしに突き飛ばされた大淀がとっさにブラウスをつかんだときに飛んでったんだった。