カバンのような形の籐のかごには、ツヤツヤの大きな柿が並んでいる。
「これ、どこで買ったの?」
「え」
「こんなの東京でも買えるし。産直販売の店なんかそこらじゅうにあるもん」
そんな言葉が口をついて出た。
樹の目がゆっくりとわたしを見る。
「わたし知ってるんだよ。樹トラックの仕事辞めちゃったんでしょ?
関西方面へ行くだとか、長距離の仕事が入ってるだとか、そう言ってた言葉全部ウソだったんだよね?
ケータイがドライブモードになってんのも、『今帰ったとこ』っていうのも『夕方から仕事だ』っていうのも全部ウソなんじゃん。
なんでそんな大事なことまでウソつかれなきゃならないの?
そんなウソを重ねられて、樹のこと信じられると思う?
さっきの美里さんの話だって本当だかどうだかわかんないよ……!」



