朝が待てなくて


「お前、泣くから」


と樹は言った。




「会ったときに顔を見ながら説明するつもりだった。電話だと言葉足らずでうまく伝わらなくて、言い合いになって、結局泣かせちまうし」


確かに美里さんの話になると、わたしはいつも先回りして焼きもち焼いて突っかかったりショック受けたり、自滅するのが定番のパターンだけど……。




「家知ってるなんて急に言うから、俺がいないときに部屋に来て美里がいること知ったら、お前誤解しちゃって大変なことになると思ったんだ。だからずっと留守だって、とっさにウソをついた」






ちょうどそのとき、トラックがわたしの家の前に滑るようにとまった。



車内灯を付けて、樹が後ろのシートから柿の入ったかごを取り、わたしの膝の上にのせる。


「山梨行ってた」


低い声がそう言った。