「俺、今、祐二ん家に住んでるから」
そんなわたしに樹は思いがけないことを言った。
「え?」
「部屋は美里に貸してる。住むとこ決まるまでお母さんと妹と好きに使えばいいって、鍵を渡した」
「え、それじゃあ、樹の部屋で美里さんがしゃべっていた相手は……」
お母さんか妹さんってこと?
あのタオルは誰かが使ったのを一緒に干したってだけのこと……?
そんな……。
「なんで言ってくれなかったの……?」
思わず言葉がこぼれていた。
だって、それならそうと説明してくれれば済むことだ。
仕事でずっといないとか、ウソまでついて部屋に寄せつけないなんて、何かあるのかと勘ぐっちゃうに決まってる。



