「上野、今から二人でパアッと、どっか遊びに行こう」
いつになく明るい口調で言ってくれる。
「映画とかスポッチャとか、それとも何か食いに行く? お前の行きたいところにつきあうよ。どこがいい?」
「……ラブホテル」
「え?」
「イヤ?」
すがるように大淀を見た。
「わたしじゃ、ダメ?」
「何言ってんの? お前」
真剣な目がこっちを見ている。
「お願い、大淀。……樹を忘れさせて」
お願い……。
大淀の黒い瞳が大きく見開かれ、
わたしたちは舗道の端にしゃがみ込んだまま固まっていた。
「俺……遠慮しないけどいい?」
やっと口を開いた大淀はそう言うと、わたしの手をとり立ちあがった。



