「足早すぎるし、お前」
「ゴ、ゴメン。あの、ついてきてくれたのに勝手に帰っちゃった」
あわてて謝ると、大淀はヒョイとわたしの真ん前にしゃがみ込んだ。
「そういう意識はあるんだ?」
ひとの顔をのぞき込む。
「えらく派手に転んでたけど、平気か?」
「うん」
「ひざから血が出てんぞ」
「ううん」
首を横に振る。
「お前、『うん』と『ううん』間違ってるよ」
大淀がちょっとだけ笑った。
「大丈夫か?」
血がにじむひざをギュッと三角に抱え込み、わたしはコクッとうなずく。
「大丈夫」
「ほら、また間違った。大丈夫じゃないくせに」
大淀の手が伸びてきて、わたしの頭を撫でた。
「う……」
涙がじわっとあふれ出す。



