部屋にいたのは樹だ。
二人は一緒にシャワーを浴びたの?
それとも一人ずつ順番に浴びた?
シャワーを浴びて何をするの?
それとも、もう……したあと?
そういうことだよね?
樹はそう……決めたんだよね?
そういう暮らしを、始めたんだよね?
さっき美里さんが戻る瞬間、カーテンレールに部屋干ししてある洗濯物がちらっと見えた。
女性ものの下着が揺れていた――。
「ひどい……よ」
そう言い捨てると、わたしは走りだしていた。
駅とは反対方向へ、目的もなくメチャクチャに走る。
樹のバカ。
樹のバカ。
樹のバカ。
もう信じらんないなんて言いながら、心の奥底ではやっぱり信じていたんだって、わかった。
樹がそんなことをするはずがないって、
わたしを裏切ったりなんかしないって……。



