樹と美里さんは駅の向こうへ出て、国道沿いを歩いて行く。
二人は手をつなぐでもなく、腕をからめるでもなく、でも、ずっと並んで歩いていた。
樹ばっかしゃべってる。
うれしそうに笑いすぎ。
結局二人が入っていったのは、パチンコ屋さんとラブホテルとの間に谷間のようになっている2階建ての小さなアパートだった。
ねずみ色の外壁は薄黒く汚れていて、外付けの鉄製の階段は塗装がはげてサビサビになっている。
となりのビルとの間は1メートルほどしかなく、日当たりなんてまるで望めなさそう。
「やっぱ樹の部屋に行くんじゃん……」
淡い期待が破れて、胸が押しつぶされていく。
いつかミャンマーがあたりをつけてくれた樹のアパートの場所は、かなりな感じでビンゴだった。



