「お礼は?」
と言ったら、冗談だったのに、大淀はジュースをおごってくれた。
新発売のフレーバーティーの小さなペットボトル。
同じのを買って二人で飲みながら、駅へ向かう道を並んで歩く。
大淀が自分ちに行く道を曲がらなかったから、あれ?って顔で見あげると、彼はボソッとつぶやいた。
「本屋」
あ、そっか。
大淀が行く本屋さんへは次の角で曲がる。
「じゃあね」
と手を振って駅に向かおうとしたら、彼はキョトンとこっちを見た。
「あれ? あいつの会社に寄らないの?」
「樹?」
「うん」
「今日は仕事でいないもん。関西のほうに行ってるんだって」



